
イメージ画像:Spirits Navi | 家飲み研究員の蒸留酒ガイド 作成
スモーキーなウイスキーのグラスを片手に、その奥深い香りの虜になっているあなたへ。
「この煙たさの正体って何だろう?」「ウイスキーのフェノール値とは、一体どんな意味があるんだろう?」そんな疑問を抱きながら、このページにたどり着いたのではないでしょうか。
もしかしたら、具体的な銘柄の数値が気になっているのかもしれませんね。「フェノール値が高いウィスキーは、やっぱりアードベッグなのかな?」「異次元の数値と聞くオクトモアのフェノール値一覧が見てみたい」「ラフロイグ10年のフェノール値って、結局いくつなの?」と。
ご安心ください。この記事では、あなたのそんな尽きない探求心にすべてお答えします。
タリスカーやジョニ黒、ニッカの余市といった定番から、少しマニアックなディーコンまで、気になるウイスキーのフェノール値を網羅した一覧をご用意しました。さらに、フェノール値最高の栄冠はどのボトルに輝くのか、独自のフェノール値ランキングで徹底解剖します。
もちろん、「フェノール値 ppm」という単位の意味のような基本から丁寧に解説しますので、これからスモーキーウイスキーの世界に足を踏み入れたい方も大歓迎です。
さあ、あなたのウイスキー選びがもっと楽しく、もっと深くなる冒険へ。一緒に旅立ちましょう。
この記事でわかること
- ウイスキーのフェノール値の基本的な意味
- 人気銘柄ごとの具体的なフェノール値の一覧
- どのウイスキーが最強か分かるフェノール値ランキング
- 数値を参考にした自分好みのウイスキーの選び方
ウイスキーの個性を解き明かす「フェノール値一覧」:基本から徹底解説
- まずは基本から!ウイスキーの「フェノール値とは?」スモーキーさの正体に迫る
- フェノール値の単位「ppm」の意味と、味わいにどう影響するのかを解説
- 人気銘柄のフェノール値を比較検証:タリスカー、ジョニ黒、ディーコンの実力は?
- ジャパニーズウイスキーの誇り:ニッカ「余市」のフェノール値とその製法へのこだわり
- 疑問を解決!ラフロイグ10年のフェノール値は公表されているのか?
- フェノール値が高いウイスキーはどれ?代表的な銘柄と選び方のポイント
まずは基本から!ウイスキーの「フェノール値とは?」スモーキーさの正体に迫る

イメージ画像:Spirits Navi | 家飲み研究員の蒸留酒ガイド 作成
ウイスキーを語る上で、特にスコットランドのアイラ島で造られるウイスキーについて話すとき、避けては通れないのが「フェノール値」という言葉です。これは簡単に言うと、ウイスキーの香味特性、特にスモーキーさや薬品のような香りの強さを示す指標となります。
この香りの源は、ウイスキーの主原料である大麦麦芽(モルト)を乾燥させる工程にあります。麦芽の成長を止めるために熱風で乾燥させるのですが、その際に「ピート(泥炭)」を燃料として使用することで、ピートが燃える煙の香り成分が麦芽に付着するのです。この時に付着する香り成分こそがフェノール化合物であり、その量を数値化したものがフェノール値と呼ばれます。
ちなみに、ピートは産地によって含まれる成分が異なります。例えば、アイラ島のピートは海に近いため海藻などを多く含んでおり、ヨードや薬品を思わせる独特の香りを生み出すと言われています。このため、同じフェノール値でも、産地によって香りの質が微妙に異なるのも、ウイスキーの面白いところです。
フェノール値の単位「ppm」の意味と、味わいにどう影響するのかを解説
フェノール値の単位として使われるのが「ppm(parts per million)」です。これは「100万分の1」を意味する濃度の単位で、ウイスキーにおいては「乾燥後の麦芽1トンあたりに、フェノール化合物が何グラム含まれているか」を示しています。例えば、10ppmであれば、麦芽1トンに10グラムのフェノール化合物が含まれている、ということになります。
ここで非常に重要なポイントがあります。このppmという数値は、あくまで原料である「麦芽」の段階で測定されたものである、という点です。麦芽はその後、糖化、発酵、そして蒸留、樽での熟成という長い工程を経てウイスキーになります。
蒸留の過程でフェノール成分の一部は失われますし、逆に樽での熟成中に他の香り成分と結びついて、香りの感じ方が変化することもあります。したがって、「麦芽のフェノール値が高い=完成したウイスキーが必ずしも強烈にスモーキー」とは限らないのです。あくまでウイスキーの個性を知るための一つの目安として捉えるのが、正しい見方と言えるでしょう。
人気銘柄のフェノール値を比較検証:タリスカー、ジョニ黒、ディーコンの実力は?
では、具体的な銘柄を挙げてフェノール値を見ていきましょう。家飲みでも人気の高いボトルを比較してみます。
- タリスカー (Talisker)スカイ島が誇る銘酒タリスカー。そのフェノール値は、一般的に18〜25ppm程度とされています。アイラモルトの代表格に比べると数値は控えめですが、スモーキーな香りの中に黒胡椒のようなスパイシーさと、島で造られるウイスキーならではの潮の香りが見事に調和しています。まさに「海の男のウイスキー」といった趣で、食中酒としても素晴らしいパフォーマンスを発揮します。
- ジョニーウォーカー ブラックラベル(ジョニ黒) (Johnnie Walker Black Label)世界で最も飲まれているスコッチウイスキーの一つであるジョニ黒。これは様々な蒸留所の原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーのため、単体のフェノール値というものは公表されていません。しかし、ブレンドのキーモルトには前述のタリスカーや、アイラ島のカリラといったピーティーな原酒が使われており、全体として心地よいスモーク香を感じることができます。体感としては15ppm前後のウイスキーに近いかもしれません。その絶妙なバランス感覚は、ブレンデッドウイスキーの芸術と言えるでしょう。
- ディーコン (The Deacon)比較的新しいブレンデッドモルトウイスキー、ディーコン。こちらもフェノール値は非公開です。しかし、ピーティーなアイラモルトと、スムースなスペイサイドモルトをブレンドしていることが公表されており、その味わいはスモーキーでありながら、どこかフルーティーな甘みも感じさせるモダンなスタイル。伝統的なスコッチのイメージを少しアップデートしたような、面白い一本です。
ジャパニーズウイスキーの誇り:ニッカ「余市」のフェノール値とその製法へのこだわり

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日本のウイスキーに目を向けてみましょう。ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝がスコットランドの気候に近い場所として選んだ北海道・余市蒸溜所。ここで造られる「余市」は、ジャパニーズウイスキーの中でも特に力強く、スモーキーな個性を持つことで知られています。
そのフェノール値は、通常品で3〜5ppm程度と言われています。アイラモルトと比較すると非常に低い数値に思えますが、余市が持つ個性は数値だけでは測れません。その秘密は、今では非常に珍しくなった「石炭直火蒸溜」にあります。この伝統的な蒸溜方法によって、重厚で力強い味わいと、香ばしいフレーバーが生まれるのです。控えめなピート香と、石炭直火蒸溜が生み出すリッチさが組み合わさることで、余市ならではの唯一無二の味わいが完成します。
疑問を解決!ラフロイグ10年のフェノール値は公表されているのか?
「アイラの王」とも称され、その強烈な個性で世界中のファンを魅了するラフロイグ。「好きになるか、嫌いになるか」と言われるほど、その香りは独特です。薬品やヨード、消毒液のようだと表現されるあの香りの源は、もちろん高いフェノール値にあります。
しかし、実はラフロイグ蒸溜所は、主要なラインナップのフェノール値を公式には発表していません。これは、数値というスペックだけでウイスキーを判断してほしくない、という造り手の哲学の表れかもしれません。
とはいえ、専門家やファンの間では、定番の「ラフロイグ10年」の麦芽フェノール値は40〜45ppm程度というのが定説になっています。これは後述するアードベッグよりは少し低い数値ですが、独自の製法や海辺の立地が相まって、あの忘れがたい強烈な個性を生み出しているのです。
フェノール値が高いウイスキーはどれ?代表的な銘柄と選び方のポイント
フェノール値が高いウイスキーを探すなら、やはりスコットランドのアイラ島に注目するのが一番の近道です。代表的な銘柄としては、これまでに出てきたラフロイグをはじめ、アードベッグ、カリラ、ラガヴーリン、ボウモアなどが挙げられます。
これからスモーキーウイスキーの世界に足を踏み入れたい、という方への選び方のポイントは3つあります。
- いきなり最高数値を求めない:まずは20ppm前後のタリスカーやボウモアあたりから試してみて、自分の好みの方向性を探るのがおすすめです。
- 熟成年数もチェックする:一般的に、熟成年数が若い方が麦芽由来のスモーキーさを感じやすく、長くなると樽の甘みなどと調和して円やかな印象になります。
- 数値はあくまで参考と心得る:前述の通り、ppmは原料段階の数値です。最終的な味わいは蒸留や熟成で大きく変わります。ぜひ、色々なボトルを実際に試して、ご自身の舌で最高の相棒を見つけてみてください。
【完全版】ウイスキーフェノール値ランキングとマニア向け銘柄一覧
お
- 【保存版】ウイスキーフェノール値一覧:あなたの好みがきっと見つかる
- 決定版!フェノール値ランキング:最強スモーキーの頂点に輝くのは?
- アイラの伝説「アードベッグ」のフェノール値と各ラインナップの違いを深掘り
- 異次元の煙たさ!「オクトモア」の歴代フェノール値一覧とその衝撃
- ポリフェノール含有量ランキング(果物・ワイン・飲み物)との関連性は?ウイスキーの健康トリビア
- 【注意】フェノールフォーム1種2号やフェノバール散10%添付文書、0.1%フェノールフタレイン、1-フェニルエタノールの危険性・分子量などとの違いについて
- 総括:この記事でわかるウイスキーのフェノール値一覧のポイント
【保存版】ウイスキーフェノール値一覧:あなたの好みがきっと見つかる
ここでは、主要なスモーキーウイスキーのフェノール値(麦芽段階)を一覧でご紹介します。ただし、多くは公表値ではなく、一般的な通説に基づいている点にご留意ください。
銘柄名 | 在庫 | 蒸溜所/ブランド | 地域 | フェノール値 (ppm) |
オクトモア | 在庫確認 | ブルックラディ | アイラ島 | 80 〜 309.1 |
アードベッグ・スーパノヴァ | 在庫確認 | アードベッグ | アイラ島 | 100以上 |
アードベッグ 10年 | 在庫確認 | アードベッグ | アイラ島 | 50 - 55 |
ラフロイグ 10年 | 在庫確認 | ラフロイグ | アイラ島 | 40 - 45 (非公式) |
ラガヴーリン 16年 | 在庫確認 | ラガヴーリン | アイラ島 | 35 - 40 |
カリラ 12年 | 在庫確認 | カリラ | アイラ島 | 30 - 35 |
ポートシャーロット | 在庫確認 | ブルックラディ | アイラ島 | 40 |
ボウモア 12年 | 在庫確認 | ボウモア | アイラ島 | 20 - 25 |
キルホーマン・マキヤーベイ | 在庫確認 | キルホーマン | アイラ島 | 50 |
タリスカー 10年 | 在庫確認 | タリスカー | スカイ島 | 18 - 25 |
ハイランドパーク 12年 | 在庫確認 | ハイランドパーク | オークニー諸島 | 約20 |
ベンリアック(ピーテッド) | 在庫確認 | ベンリアック | スペイサイド | 様々 (〜55) |
余市 | 在庫確認 | ニッカ | 日本 | 3 - 5 |
白州 | 在庫確認 | サントリー | 日本 | 3 - 5 |
決定版!フェノール値ランキング:最強スモーキーの頂点に輝くのは?
前述の表を見れば結果は一目瞭然。スモーキーウイスキーの頂点、その玉座に君臨するのは、疑いようもなくブルックラディ蒸溜所が造る「オクトモア」シリーズです。時に300ppmを超えるその数値は、他の追随を全く許しません。
第1位:オクトモア (Octomore) -->値段を確認する
第2位:アードベッグ・スーパノヴァ (Ardbeg Supernova) -->値段を確認する
第3位:アードベッグ 10年 / キルホーマン (Ardbeg 10 / Kilchoman) -->値段を確認する
ランキングはこのようになりますが、やはりオクトモアの存在感は圧倒的です。では、これらの伝説的なウイスキーは一体どのような味わいなのでしょうか。さらに深掘りしていきましょう。
アイラの伝説「アードベッグ」のフェノール値と各ラインナップの違いを深掘り
アードベッグは、アイラモルトの中でも特に熱狂的なファンを持つ蒸溜所です。そのフェノール値は50〜55ppmと、定番品の中では最高クラス。力強いスモーキーさに加え、柑橘系の爽やかさやバニラの甘みが感じられる複雑な味わいが魅力です。
定番の「アードベッグ 10年」を基準とすると、ラインナップごとに個性は様々です。
- アードベッグ ウーガダール: シェリー樽熟成の原酒をヴァッティングしており、スモーキーさと共に濃厚な甘さとスパイシーさが加わります。
- アードベッグ コリーヴレッカン: フレンチオークの新樽で熟成させた原酒を使用。胡椒のような刺激的でパワフルな味わいが特徴です。
- アードベッグ スーパノヴァ(限定品): フェノール値100ppmを超える麦芽を使用した、まさに超新星の名にふさわしい一本。強烈なピートが爆発します。
このように、同じ蒸溜所でも樽の使い方や原酒の選び方で、全く異なる表情を見せてくれるのがアードベッグの面白さです。
異次元の煙たさ!「オクトモア」の歴代フェノール値一覧とその衝撃
「もし、世界で最もピーティーなウイスキーを造ったらどうなるのか?」という、ブルックラディ蒸溜所の好奇心から生まれた実験的なウイスキー、それがオクトモアです。毎年リリースされるボトルにはバージョン番号が振られ、その都度異なるコンセプトで造られています。
その歴代のフェノール値はまさに衝撃的です。
- オクトモア 01.1: 131 ppm
- オクトモア 02.2: 140 ppm
- オクトモア 06.3: 258 ppm
- オクトモア 08.3: 309.1 ppm (観測史上最高値)
これほどの数値を見ると、一体どんな味がするのか想像もつかないかもしれません。しかし、オクトモアを飲んだ人が一様に驚くのは、その味わいが単に煙たいだけではないことです。驚くほど繊細で、フローラル、フルーティーなアロマが、強烈なスモークの中から顔を出すのです。数値の衝撃と味わいの複雑さのギャップこそ、オクトモアが世界中のマニアを虜にする最大の魅力と言えるでしょう。
ポリフェノール含有量ランキング(果物・ワイン・飲み物)との関連性は?ウイスキーの健康トリビア

イメージ画像:Spirits Navi | 家飲み研究員の蒸留酒ガイド 作成
時折、「ウイスキーのフェノールと、健康に良いと言われるポリフェノールは同じもの?」という質問を受けます。大きな化学の括りでは、どちらも「フェノール性化合物」というグループに含まれる仲間です。
しかし、その由来と性質は異なります。赤ワインや果物、緑茶などに含まれるポリフェノール(カテキンやアントシアニンなど)が健康効果で注目されますが、ウイスキーの香味の主体であるピート由来のフェノール類とは別物です。
一方で、ウイスキーには樽での熟成中に樽材から溶け出す「エラグ酸」や「タンニン」といったポリフェノールも含まれています。これらはウイスキーの色や味わいの複雑さに寄与しています。ただし、その含有量は赤ワインなどに比べると少ないため、健康効果を期待して飲む、というものではありません。あくまで、ウイスキーの味わいを構成する一つの要素として知っておくと、トリビアとして面白いかもしれませんね。
【注意】フェノールフォーム1種2号やフェノバール散10%添付文書、0.1%フェノールフタレイン、1-フェニルエタノールの危険性・分子量などとの違いについて
最後に、非常に重要な注意点です。「フェノール」という言葉で検索すると、ウイスキーとは全く関係のない、専門的な化学物質や医薬品、建材などの情報が表示されることがあります。これらは名前が似ているだけで、全くの別物です。
- フェノールフォーム: 住宅などに使われる高性能な断熱材です。
- フェノバール(フェノバルビタール): 医師の処方が必要な医療用医薬品(抗てんかん薬、催眠鎮静薬)です。
- フェノールフタレイン: 理科の実験で使われる、アルカリ性で赤色に変わる指示薬です。
- 1-フェニルエタノール: 香料原料などに使われる芳香族アルコールです。
これらの物質は、それぞれに専門的な用途や危険性があり、ウイスキーの香味成分とは一切関係ありません。くれぐれも混同しないようご注意ください。
まとめ
ウイスキーの「フェノール値」という一つの指標を巡る旅、いかがでしたでしょうか。この数値は、スモーキーウイスキーの個性を知るための素晴らしい羅針盤になります。しかし、それがウイスキーの価値の全てを決定するわけではありません。
この一覧やランキングを参考に、ぜひあなた自身の「最高の一本」を見つける冒険に出てみてください。数値の向こう側にある、蒸溜所の哲学や風土、そして熟成という時間の魔法に思いを馳せながらグラスを傾ける時間は、きっとあなたの家飲みを、より豊かで素晴らしいものにしてくれるはずです。
総括:この記事でわかるウイスキーのフェノール値一覧のポイント
ポイント
- フェノール値はウイスキーのスモーキーさを示す指標である
- 香りの源は麦芽乾燥時に焚くピート(泥炭)の煙である
- 単位は麦芽に含まれるフェノール化合物の濃度を示すppmである
- この数値はあくまで原料の麦芽段階で測定されたものである
- 蒸留や熟成の過程で最終的な香味は変化する
- タリスカーのフェノール値は18-25ppm程度とされている
- ラフロイグは数値を公式発表していないが40-45ppmが定説である
- アードベッグ10年の麦芽フェノール値は50-55ppmと高い
- ニッカ余市の個性は低いフェノール値と石炭直火蒸溜の賜物である
- 現時点でフェノール値最強の銘柄はブルックラディのオクトモアである
- オクトモアは過去に300ppmを超える驚異的な数値を記録した
- アイラ島の蒸溜所は特にピーティーなウイスキー造りで知られる
- 数値の高さだけでなく熟成年数や樽の種類も味わいを左右する
- ウイスキーのポリフェノールは樽由来でピート香の成分とは異なる
- 断熱材のフェノールフォームなど同名の化学物質とは全くの別物である